

岡田 康介
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燃料噴射装置とは?
燃料噴射装置は、ガソリン車などのエンジンに燃料を正確な量だけ噴射して混合気を作る装置です。従来のキャブレターと比べて、ECUと呼ばれる電子制御ユニットが空気量・温度・回転数などの情報をもとに最適な量を決めるため、燃費の改善や排出ガスの低減が可能になりました。
現代の車では主に燃料噴射装置が使われ、空気と燃料の混合を細かく制御します。燃料噴射装置には大きく分けて2つの方式があります。ポート噴射ではエンジンの吸気筒に向かって燃料を噴射し、直噴ではシリンダー内に直接燃料を噴射します。それぞれ長所と短所があり、車種や用途によって選ばれます。
仕組みと流れ
エンジンが空気を取り込み、ECUがセンサからの情報を受け取ります。空気量が多いほど燃料も多く必要になり、噴射時間を長くします。インジェクターはこの噴射時間を決定し、燃料を気筒へ噴射します。噴射のタイミングと量は、パルス幅と呼ばれる短い時間で制御されます。実際の流れは、吸気が進み、センサ情報がECUへ伝わり、ECUが燃料ポンプを作動させ、燃料レールに燃料を蓄え、インジェクターが噴射を行います。排出ガスの状態を排出ガスセンサが監視し、ECUは必要に応じて微調整します。
主な部品と役割
パーツ | 役割 |
---|---|
燃料ポンプ | タンク内の燃料を高圧で供給 |
燃料レール | インジェクターへ燃料を均等に分配 |
インジェクター | 燃料を気筒へ噴射 |
ECU | センサ情報から噴射量とタイミングを制御 |
酸素センサ | 排出ガスの酸素量を測定して濃度を調整 |
MAF/MAPセンサ | 吸気量や空燃比の基準値を提供 |
なぜ重要か
燃料噴射装置が正しく働くと、燃費がよくなり排出ガスも減ります。直噴は出力を高めることができますが、高圧設計や掃除の面で整備が難しくなることがあります。総じて、車の経済性と環境面に直結しています。
故障のサインとメンテナンス
アイドリングが不安定になる、エンジンがかかりにくい、燃費が急に悪化するなどのサインが出たら、燃料噴射装置や関連部品の点検が必要です。燃料ポンプの圧力チェック、インジェクターの詰まりや漏れの点検、ECUの診断など専門の整備が有効です。高圧系統を扱う作業は非常に危険なので、自己判断で分解せず専門家に任せましょう。
安全と注意
高圧燃料系は皮膚や目、呼吸器への危険があるため、作業中は必ずエンジンを停止し、バッテリーを外すなどの基本的な安全対策をとります。自動車整備の基本を理解していても、分解・組み立ては専門知識が必要です。
まとめ
この燃料噴射装置は、現代の自動車の心臓とも言える部品群を構成します。ポート噴射と直噴の違いを理解し、主な部品の役割を知っておくと、車の燃費・性能・排出ガスの理解が深まります。正しい点検と安全な整備により、長く安心して車を使えるようになります。
燃料噴射装置の同意語
- 燃料噴射システム
- エンジンへ燃料を正確な量とタイミングで噴射する、燃料供給と噴射を統括する装置群の総称。通常はポンプ、燃料レール、インジェクター、圧力調整器、ECUなどを含み、ECUの制御で最適化されます。
- 燃料インジェションシステム
- 燃料噴射システムと同義とされる英語由来の表現。燃料を高圧で各シリンダーに噴射する仕組みを指します。
- 電子式燃料噴射システム
- ECUなどの電子制御を用いて燃料量と噴射タイミングを決定する現代の燃料噴射方式の総称です。
- EFI(電子式燃料噴射システム)
- Electronic Fuel Injection の略。現代の車で主流となっている電子制御噴射の仕組みを指します。
- 燃料噴射機構
- 燃料を噴射するための仕組み・構造全体を示す概念的な表現。噴射を実現する部品の集合を含みます。
- 燃料噴射ユニット
- ノズル群・燃料レール・ポンプ・圧力調整器など、噴射に必要な主要部品をまとめた一体部品のことを指します。
- 燃料インジェクターシステム
- 複数のインジェクターを含む噴射系統を指す表現。各シリンダーへ燃料を供給するインジェクターを核とします。
- 燃料噴霧装置
- 燃料を霧状に噴射する機構を表す表現。噴射の性質や方式を強調する言い方として使われます。
- 燃料供給システム
- 燃料をタンクからエンジンへ供給する全体の系統を指します。噴射自体よりも前後の供給系統を含む広義の語です。
- 燃料供給装置
- 燃料ポンプ・フィルター・レギュレーターなどを含む、燃料を供給する装置群を指す広義の表現です。
燃料噴射装置の対義語・反対語
- キャブレター式燃料供給装置
- 燃料を直接エンジンへ噴射する代わりに、キャブレターと呼ばれる混合器で空気と燃料を混合してからエンジンへ供給する従来の燃料供給方式のこと。
- 燃料供給系統なし
- 燃料を供給する装置・系統を用いない状態や概念のこと。実務上はエンジンが燃料を受け取らない設定を指す対義語風の表現です。
- 低圧燃料供給系
- キャブレター式は低圧で燃料を取り扱う方式であり、比較して高圧噴射系と対照的な性質を示す表現。
- 非噴射式混合装置
- 燃料を噴射して混合する方式を用いない、別の混合方式を指す概念的な対義語。
- 機械式燃料供給系統
- 電子制御を使わず機械的手段で燃料を調整・供給する系統のこと。電子制御式燃料噴射装置の対義的な対照として挙げられます。
燃料噴射装置の共起語
- エンジン
- 車の動力源で、燃焼を起こすための部品群。燃料噴射装置と連携して動作します。
- インジェクター
- 燃料を霧状に噴射する部品。噴射量とタイミングを決める核的な要素です。
- フューエルインジェクター
- インジェクターの別名で、燃料をエンジンに噴射する部品です。
- 燃料ポンプ
- 燃料をタンクから高圧噴射系へ送るポンプです。
- 高圧ポンプ
- 高圧の燃料を作り出すポンプ。直噴式や高圧系で重要です。
- コモンレール
- 高圧燃料を各インジェクターへ均等に供給する共通配管です。
- 燃料供給系
- タンクから噴射系へ燃料を運ぶ一連の部品群を指します。
- ECU
- エンジンの電子制御を行う頭脳。噴射量・タイミングを制御します。
- エンジンコントロールユニット
- ECUの正式名称。燃焼条件に合わせて噴射を細かく調整します。
- MAPセンサー
- 吸気マニホールド内の圧力を測定して負荷を推定するセンサーです。
- MAFセンサー
- 吸気流量を測定してECUへデータを提供。噴射量の調整に使われます。
- O2センサー
- 排気中の酸素量を測定し、空燃比を最適化するフィードバックを提供します。
- 空燃比
- 空気と燃料の混合比のこと。最適化で燃費と排ガスを改善します。
- 空気流量
- エンジンに取り入れる空気の量の指標。噴射量決定の基礎情報です。
- 空気流量センサー
- 取り込んだ空気量を測定するセンサーです。
- 直噴式エンジン
- 燃料をシリンダ内へ直接噴射する方式。高効率を狙います。
- ポート噴射
- 燃料をシリンダへ向けて噴射する方式。混合気を作る前に噴射します。
- マルチポイント噴射
- 複数のインジェクターで各シリンダへ燃料を供給する方式です。
- MPFI
- マルチポイント噴射の略。
- キャリブレーション
- ECUが最適な噴射量を出せるよう設定を整える作業です。
- 学習機能
- 走行データをもとに噴射を適応させる機能です。
- アダプティブ制御
- 環境条件に応じて噴射特性を自動調整する制御方式です。
- パルス幅変調
- 噴射信号の幅を変えて噴射量を調整する技術です。
- PWM
- パルス幅変調の略。噴射の細かな制御に用いられます。
- 噴射量
- シリンダへ噴射される燃料の総量です。
- 噴射タイミング
- 燃料を噴射する時刻。点火タイミングと連携して最適化します。
- 噴射特性
- 温度・回転数など条件に応じた噴射の出力特性です。
- 噴射パターン
- 各シリンダへ燃料をどのように配分するかの設計です。
- OBD
- 車載診断システムの略。燃料噴射系の故障を検出・通知します。
- 車載診断
- 車両の自己診断機能で、異常コードを出力します。
- 排出ガス
- 燃焼によって排出されるガス。規制対象で制御の対象です。
- 燃焼効率
- 燃焼の効率性を表す指標。高いほど燃費と出力に良い影響を与えます。
- 燃費
- 走行距離1リットルあたりの燃料消費量の指標です。
- 燃料フィルター
- 燃料中の不純物を取り除く部品。噴射系を保護します。
- 燃料ライン
- 燃料をタンクと噴射系をつなぐ配管です。
- 燃料タンク
- 燃料を貯蔵するタンクです。
- 温度センサー
- エンジン温度を測定して制御に反映します。
- 冷却水温センサー
- エンジンの冷却水温を測定して制御に活かします。
- アルゴリズム
- 制御の計算手順を表す数学的な枠組みです。
- 故障コード
- 診断時に表示されるコードで原因究明に使います。
- 故障診断
- 異常の検出と原因追及のプロセスです。
燃料噴射装置の関連用語
- 燃料噴射装置
- エンジンへ燃料を噴射する装置の総称。ガソリンやディーゼル用のさまざまな方式を含み、空燃比を適切に保つ役割を持つ。
- 電子制御式燃料噴射 (EFI)
- ECUが燃料量・噴射タイミング・噴射圧力を電子的に制御する方式。燃費と排出の最適化を狙う。
- エンジンコントロールユニット (ECU)
- エンジンの各センサ情報をもとに燃料噴射と点火を決定する中心的な制御装置。車種で呼び方は PCM なども。
- 燃料ポンプ
- 燃料をタンクから系統へ送るポンプ。多くは電動で高圧を作り出す。
- 燃料圧力レギュレータ
- 噴射圧力を一定に保つ部品。圧力の変動を吸収して安定噴射を実現。
- 燃料ライン / 燃料ホース
- タンクとエンジンを結ぶ燃料の配管。
- 燃料タンク
- 燃料を貯蔵する容器。ポンプがここから燃料を吸い上げる。
- 燃料フィルター
- 燃料中の不純物を取り除き、噴射系の詰まりを防ぐ。
- 燃料インジェクタ / インジェクタ
- 燃料を霧状に噴射する電磁式の噴射部品。
- インジェクタノズル
- インジェクタの先端部。ノズル穴から燃料を噴射する。
- 噴射圧力
- インジェクタへ送られる燃料の圧力。高圧ほど霧化が良くなる。
- 噴射量
- 1回の噴射で噴射される燃料の量。ECUが制御して空燃比を合わせる。
- 噴射タイミング
- 燃料を噴射する時刻。クランク角・エンジン回転数に合わせて決定される。
- 直噴 (Direct Injection)
- 燃料をシリンダ内に直接噴射する方式。高圧での噴射が特徴。
- ポート噴射 (Port Fuel Injection)
- 吸気バルブ付近で燃料を噴射する方式。
- マップセンサ (MAPセンサ)
- 吸気マニホールド内の絶対圧を測定して燃料量の計算に使うセンサ。
- 空燃比 (Air-Fuel Ratio)
- 空気と燃料の混合比のこと。適正値は排出と燃焼の安定に影響。
- 酸素センサ / O2センサ (ラムダセンサ)
- 排気中の酸素量を測定してECUが空燃比を修正するセンサ。
- ラムナセンサ
- O2センサの別称。
- クランク角センサ (CKP)
- クランクシャフトの回転位置を検出して噴射タイミングの基準を提供するセンサ。
- スロットル位置センサ (TPS)
- スロットル開度を検知し、燃料量や点火の控制に使うセンサ。
- アイドルエアコン(関連記事:アマゾンでエアコン(工事費込み)を買ってみたリアルな感想)トロールバルブ (IACV)
- アイドリング時のエア量を調整してアイドリングを安定させる部品。
- MAFセンサ (空気流量センサ)
- 吸気側を流れる空気の質量流量を測定してECUが燃料量を決める。
- 燃料マップ / 燃料マップ (Fuel Map)
- ECUが使用する地図データ。エンジン回転数・負荷に応じて噴射量を決定。
- 閉ループ制御
- 排出を重視して、O2センサ等からの情報を使って空燃比を連続的に修正する制御。
- 開ループ制御
- 初期始動時など、センサ情報が限定的なときに用いる燃料制御。
- OBD-II / On-Board Diagnostics
- 車載自己診断機能。燃料系の故障を検出しコード化して表示する。
- 故障診断コード (DTC)
- センサや機構の異常をコードで表現する診断コード。
- 燃料圧力センサ
- 燃料ラインの圧力を測定するセンサ。ECUが噴射量を正確に計算するのに使う。
- キャブレター
- EFI以前の古い機械式燃料供給装置。現代車ではほぼ使われないが関連用語として残る。
- 電子制御スロットル (ETC)
- スロットル開度をECUが制御する機構。アクセルの信号をデジタル化して扱う。
- 冷却水温度センサ (ECT)
- エンジンの冷却水温を測定して、燃料補正や点火時期の基準に用いる。