岡田 康介
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エンドセリンとは？この言葉の意味をやさしく解説
エンドセリンは体の中の血管の収縮をつかさどる小さなタンパク質の名前です。正式にはエンドセリンというペプチドがあり、血管の内皮細胞から作られます。エンドセリンは血管を狭くする働きを持っていて、過剰に作られると血圧が上がったり、心臓や肺に負担がかかったりする原因になります。
エンドセリンの働きと特徴
体は血圧を安定させるために様々な物質を作り出します。その中でもエンドセリンは「血管の締め付け役」として働きます。エンドセリンの強さや働く場所はタイプによって少しずつ異なります。
主な種類と受容体
エンドセリンには主にエンドセリン-1、エンドセリン-2、エンドセリン-3の3つのタイプがあります。これらは血管の壁の細胞から作られ、血管の収縮を引き起こす力が異なります。体にはエンドセリンを受け取り反応する受容体があり、主にはETA受容体とETB受容体の2つです。ETA受容体は主に血管の収縮を促す役割を持ち、ETB受容体は収縮だけでなく血管の拡張にも関与する場合があります。
病気との関係と臨床的な意味
エンドセリンは健康に必要な場面もありますが、病気のときには過剰に働くことがあります。特に肺動脈性高血圧や一部の心血管疾患、自己免疫疾患で過剰な収縮が起こると血流が悪くなり、息切れや疲れやすさが出てきます。
治療への応用と薬の話
エンドセリンの働きを抑える薬としてエンドセリン受容体拮抗薬が使われます。代表的な薬にはボセンタン、アムブリセンタン、マシテンタンなどがあります。これらは病気の進行を遅らせる効果があるとされ、医師の適切な診断と検査のもとで処方されます。治療中には肝機能の検査を行うことがあり、薬の副作用や相互作用にも注意が必要です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主なエンドセリンのタイプ | エンドセリン1、エンドセリン2、エンドセリン3 |
| 主な受容体 | ETA受容体、ETB受容体 |
| 主な作用 | 血管の収縮と血圧の調整 |
日常生活とまとめ
エンドセリンは私たちの体の血管を調整する重要な物質です。健康を保つには適度な運動、バランスの良い食事、睡眠、喫煙を避けることが基本です。病気の可能性があると感じたら、自己判断で薬を変えず、必ず医師の指示を仰ぎましょう。エンドセリンという名前を覚えると、血管と健康の関係が見えやすくなります。
エンドセリンの同意語
- エンドセリン
- 内皮細胞から分泌される血管収縮ペプチドの総称。体内で血管を収縮させる作用を持つ物質として知られ、ET-1などの特定の同位体を含むグループの名称として使われる。
- エンドセリン-1
- Endothelin-1（ET-1）の正式名称。エンドセリンの最も活性が高い形で、主に血管収縮作用を担う最重要な同位体。
- ET-1
- Endothelin-1の略称。医療・研究分野で広く用いられる呼称。
- 内皮素-1
- Endothelin-1を指す日本語表記の別名。内皮細胞由来の血管収縮ペプチドとして理解される。
- 内皮素
- Endothelinファミリーを指す総称として用いられることがある名称。文脈によりET-1を指す場合もあるが、ファミリー全体を指すこともある。
エンドセリンの対義語・反対語
- 血管拡張
- 血管を広げる作用・現象。エンドセリンは血管を収縮させる働きの対極にある概念。
- エンドセリン受容体拮抗薬
- エンドセリンの作用をブロックし、血管の収縮を抑えて血管を拡張させる薬剤。PAHなどの治療で用いられる代表的な対義語。
- エンドセリン産生抑制
- エンドセリンの産生を減らすこと。エンドセリンによる血管収縮を抑える方向の対比。
- 一酸化窒素（NO）
- 強力な血管拡張を引き起こす分子。エンドセリンの収縮作用の対極となる代表的な拮抗物質。
- プロスタサイクリン（PGI2）
- 血管拡張と血小板抑制を促す物質。エンドセリンの収縮作用の対極となる要素。
- 血管拡張薬
- 血管を広げる作用を持つ薬の総称。エンドセリンの収縮作用を相殺する方向の概念。
- 血管拡張因子
- 血管を広げる働きを持つ因子の総称。NOやPGI2などが代表例。
エンドセリンの共起語
- エンドセリン-1
- エンドセリン-1（ET-1）は内皮細胞から作られる強力な血管収縮作用を持つペプチド。血圧や血流の調整に深く関わります。
- ET-1
- エンドセリン-1の英語表記 Endothelin-1 の略称。医療文献などでよく使われます。
- エンドセリン受容体
- エンドセリンが結合する受容体の総称。主に ET_A と ET_B の2タイプが知られています。
- ET_A受容体
- エンドセリン受容体の一種で、血管収縮を強く促す働きを持ちます。
- ET_B受容体
- エンドセリン受容体のもう一つのタイプ。血管の収縮と拡張の両方の調整に関与することがあります。
- エンドセリン受容体拮抗薬
- エンドセリン受容体の作用をブロックして血管を拡張させる薬の総称。PAH などの治療に使われます。
- ERA
- エンドセリン受容体拮抗薬の英語略称。薬剤名としてもよく使われます。
- ボスエンタン
- 代表的な ERA（エンドセリン受容体拮抗薬）で、肺動脈性肺高血圧症の治療に用いられます。
- アムブリセンタン
- ERA の一種。PAH の治療薬として用いられ、ET_A 受容体を選択的に阻害します。
- リオシグアット
- sGC（可溶性グアニレート回路）を刺激する薬で、PAH の治療に使われます。エンドセリン経路とは別の作用機序ですが併用されることがあります。
- 肺動脈性肺高血圧症
- PAH の正式名称。肺の動脈に高い圧力がかかる病気で、エンドセリン経路が関与します。
- 肺高血圧症
- 肺の血圧が高くなる病態の総称で、PAH を含むことがあります。
- 血管収縮
- エンドセリンの代表的な作用の一つ。血管を細くして血圧を上げる方向に働きます。
- 血管内皮細胞
- 血管の内側を覆う細胞で、エンドセリンの産生源として重要です。
- エンドセリン経路
- エンドセリンが受容体に結合して細胞反応を引き起こす一連の生物学的経路のこと。
- エンドセリン測定
- 血中のエンドセリン量を測定する検査や研究用語です。
- エンドセリン関連疾患
- エンドセリンの異常な機能が関与する疾患群のことを指します。
エンドセリンの関連用語
- エンドセリン
- 血管内皮細胞から作られるペプチドの総称で、血管を収縮させる強い作用を持つ。体全体の血流と血圧の調整に深く関与します。
- エンドセリン-1（ET-1）
- 最も重要なアイソフォーム。血管を強く収縮させ、血圧を上げる主な作用を持ち、さまざまな病気で過剰に作られることがあります。
- エンドセリン-2（ET-2）
- ET-2は特定の組織で産生されるエンドセリンのアイソフォームで、組織ごとに役割が異なります。
- エンドセリン-3（ET-3）
- ET-3は別のアイソフォームで、主に神経・消化管などに分布します。ET-1と同様の血管作用を示すことがあります。
- エンドセリン受容体A（ETA）
- ETA受容体はGタンパク質共役受容体で、エンドセリン-1が結合すると血管収縮と平滑筋の増殖を促します。
- エンドセリン受容体B（ETB）
- ETB受容体は内皮にも存在し、一部はNOやプロスタサイクリンを介して血管を拡張させる働きや、ET-1の体内クリアランスにも関与します。
- エンドセリン変換酵素1（ECE-1）
- ビッグエンドセリン-1を活性型のエンドセリン-1へ変換する主要酵素です。
- エンドセリン変換酵素2（ECE-2）
- ECE-2は補助的にエンドセリン生成に関与することがある酵素です。
- ビッグエンドセリン-1（Big ET-1）
- エンドセリン-1の前駆体で、ECEにより活性なET-1へと加工されます。
- プレプロエンドセリン-1（Preproendothelin-1）
- エンドセリンの前駆体で、体内で加工されてET-1が作られる出発点となる分子です。
- エンドセリン受容体拮抗薬（ERA）
- ETA/ETB受容体を阻害してエンドセリンの作用を抑える薬の総称。PAHなどの治療に使われます。
- ボセンタン（Bosentan）
- ERAの代表薬の一つで、ETAとETBの両方を阻害します。PAHの治療薬として広く使われます。
- アムブリセンタン（Ambrisentan）
- 選択的にETAを阻害するERA。PAH治療に用いられます。
- マシテンタン（Macitentan）
- ETAとETBを双方阻害するERAで、組織への浸透性が高く長時間作用します。
- 肺動脈性高血圧症（PAH）
- 肺の動脈が狭くなり血圧が上がる病気。エンドセリン系の活性化が関与するためERAが治療に使われます。
- ET-1血漿レベル（ET-1 Plasma Levels）
- 血漿中のエンドセリン-1濃度を示す数値で、病態の指標として使われることがあります。
- エンドセリン系と腎機能・血圧調整
- エンドセリンは腎臓の血流とナトリウムの再吸収を調整し、全身の血圧にも影響します。
- エンドセリン系と線維化・癌
- エンドセリン軸は線維化や腫瘍の血管新生・成長に関与することがあり、研究対象となっています。
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