

岡田 康介
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null参照・とは?をやさしく理解しよう
この章では null参照 とは何かを日常的な例でやさしく説明します。プログラミングの初心者にとって最初のつまずきの一つが変数が何も指していない状態を扱うことです。ここでの null とは何かと想像できるように例を交えながら進みます。nullは何も参照されていない状態を表す特別な値です。
null参照とは何か
変数やオブジェクト参照が実際には指すものがない状態を指します。参照というのは他の場所にあるデータを指す目印のようなものです。もし参照先がないときこの変数は null として扱われ、そこからメソッドを呼ぶとエラーが発生します。
どうして起こるのか
プログラムは動的にデータを作ることが多いので時には参照が未初期化で残っていたり、検索に失敗して値が空になることがあります。 初期化の不足 や 外部データの欠損 が原因になることが多いです。
よくあるエラーの名前
多くの言語で NullPointerException あるいは NPE と呼ばれるエラーが出ます。日本語の解説では null参照エラーと書かれることもあります。
実例と危険性
例としてオブジェクトを使う処理を考えます。未初期化の変数に対して メソッドを呼び出す とエラーになります。たとえば紙面上の例を使うと まだ人の席が決まっていない状態で席取りの命令を出すようなものです。現実のプログラムではこのような状況が想定外の動作を引き起こし、アプリを落としたりデータを破損させたりします。安全でない操作は避けることが重要です。
回避のコツ
- 1 初期化を徹底 変数を使い始める前に必ず値を代入します
- 2 null チェック 安全に使う前に null かどうかを確認します
- 3 代替案 null 安全演算子やオプション型を使用する考え方を身につけます
- 4 デフォルト値 null の代わりに意味のあるデフォルト値を使います
たとえば日常の場面で考えると誰かに連絡する前に名前が空欄かどうかを確認するようなものです。コードでも同じ原則が働きます。
言語別のちがい
代表的な違いを簡潔に整理します。以下はごく基本的な説明です。
- Java/C# などでは NullPointerException/NPE が発生します。変数が null のままメソッドを呼ぶとこのエラーが出ます。
- Kotlin では ?. 演算子を使って安全に呼び出せます。null の場合は呼び出しをスキップしたりデフォルト値を返したりします。
- Python では None を使い None のときに別の処理を選ぶ設計が一般的です。エラーを避けるためのガード文を用意します。
表で学ぶ基本の違い
実務での活用ポイント
小さな確認作業を積み重ねることで大きなエラーを防げます。データの入出力前に必ず null チェックを挟む、外部データを使う場合は存在を確認する、などの習慣をつけましょう。
まとめ
null参照は誰でもつまずくポイントですが、正しい初期化と null 安全の考え方を身につければ未然に防ぐことができます。この記事で紹介した考え方を日々のプログラミング学習に取り入れ、エラー知らずのコードを書けるように練習しましょう。
null参照の同意語
- null参照
- 値として null を保持し、何も指し示さない参照のこと。コード内でオブジェクトを参照していない状態を表す基本用語。
- ヌル参照
- null参照のカタカナ表記。意味は同じく、何も指し示さない参照のこと。
- 空参照
- 何も参照先を持たない状態の参照。一般的に null の別表現として使われることがある。
- ヌルポインタ
- Null Pointer の略。参照先がない状態を指す用語。主に低レベル言語や比較的技術系の文献で使われる表現。
- Nullポインタ
- ヌルポインタの別表現。参照が無効な状態を指す表現。
- 空ポインタ
- 空のポインタ、つまり参照先がない状態を指す表現。
null参照の対義語・反対語
- 有効参照
- 参照先が実在のオブジェクトを指しており、参照として機能する状態
- 非null参照
- nullではない参照。参照先が必ずオブジェクトを指している状態
- 初期化済み参照
- 変数が初期化され、参照先が設定済みである状態
- 実体参照
- 実体(オブジェクト)を指す参照。nullではない状態の代表例
- 妥当な参照
- 参照先が妥当で、存在するオブジェクトを指している状態
- 安全参照
- ヌル参照の危険を回避できる、安全性の高い参照
- 正常参照
- 想定どおりに動作する参照。エラーが起きにくい状態
- 信頼できる参照
- 信頼性の高い参照。参照先が安定して存在することを示す
null参照の共起語
- Null参照エラー
- 参照がnullの状態でメンバにアクセスする等の操作時に発生するエラーの総称。
- Null参照例外
- null参照による操作時に投げられる例外。言語ごとに異なる実装(例: NullReferenceException)を含む。
- NullReferenceException
- C# / .NET で、null の参照に対してメンバを呼び出そうとすると発生する例外クラス。
- NullPointerException
- Java などで、null の参照を使おうとしたときに発生する例外。
- NPE
- NullPointerException の略。エラーの略称としてよく使われる。
- nullチェック
- 変数が null かどうかを調べ、null の場合の処理を分岐させる判断作業。
- ガード節
- 関数の冒頭で条件を満たさない場合に早期リターンする書き方。null対策として使われることが多い。
- 安全呼び出し演算子
- 参照が null でも安全に値へアクセスできる演算子。言語によって ? . などの表記がある。
- オプショナルチェイニング
- 連鎖的に参照を辿る際、途中で null になってもエラーを起こさず null を返す機構。
- null合体演算子
- 左辺が null のときに右辺の値を返す演算子。未定義値を安全に補完する。
- Nullable参照型
- null を許容する参照型を有効にする言語機能。
- ヌル許容参照型
- Nullable参照型の別称。
- 参照型
- データを参照として扱うデータ型。null が入り得る性質がある。
- 静的解析
- コードを実行せずに潜在的な null 参照を検出する分析技法。
- Optional型
- 値があるかどうかを表すラップ型。null の代わりに使われることが多い。
- Maybeモナド
- 値がある/None という2状態を扱うモナド。関数型の安全性を高める抽象データ型。
- デフォルト値
- null の場合の代替として用意するデフォルトの値。
- 遅延初期化
- 使用時まで初期化を遅らせる手法。初期化時に null を使うことがある。
- null安全
- null によるエラーを回避する設計思想・機能・実装方針。
- デリファレンス
- 参照先のオブジェクトからメンバへアクセスする操作。null の場合はエラーになる。
- 例外処理
- 発生したエラーを捕捉して処理する仕組み全般。
- try-catch
- 例外を捕捉して処理する構文。
- null安全性
- コード全体で null 参照を発生させない/抑制する安全性の概念。
null参照の関連用語
- null参照
- 参照型が指す先が null の状態。何も指していないため安全に使えず、デリファレンス時に例外が発生することが多い
- NullPointerException
- Java で null を参照から取り出そうとしたときに発生する実行時例外
- NullReferenceException
- C# で null を参照に対して操作したときに発生する例外
- Null安全
- null によるエラーを減らす設計思想や機能の総称。多くの言語が安全な扱いをサポート
- Nullable型
- null を許容する型のこと 例 Kotlin の String? や C# の string?
- Non-nullable型
- null を許容しない型のこと デフォルトで非null が前提
- Optional
- 値があるかどうかを表す包みクラス 代替として使われる
- オプショナルチェーン
- 値が null でない場合にのみプロパティやメソッドへアクセスする安全な連鎖
- Null合流演算子
- null の場合にデフォルト値を使う演算子 例 C# の ?? Kotlin の ?:
- Nullチェック
- 値が null かどうかを判定してから処理を分ける基本対策
- デフォルト値
- null の代わりに使う初期値をあらかじめ用意しておく考え方
- Null許容型
- Nullable 型の別名として使われることがある
- 非Null許容型
- Non nullable 型の別名として使われることがある
- Null許容アノテーション
- Java などで @Nullable や @NotNull の注釈を使い null 許容性を表す
- SQLのNULL
- データベースで未知または欠損を表す特別な値
- IS NULL / IS NOT NULL
- SQL で NULL を判定する比較演算子
- 三値論理
- NULL は真偽が定まらない未知 Unknown の状態として扱われる論理
- デリファレンス
- 参照が指す先のデータを実際に使う操作 ここで null のときはエラーになる
- 安全な取得
- 安全なアクセスの考え方 全ての場面で null を避ける設計を目指す