岡田 康介
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食胞とは？初心者が押さえるべき基本としくみをやさしく解説
食胞は、細胞が外部から取り込んだ物質を包む膜でできた袋のようなものです。動物細胞や原生生物の細胞でよく見られ、取り込みと分解という大事な働きを支えます。日本語では「食胞」と呼ばれ、専門用語の一つとしてファゴサイトーシスの過程でできる空間と深く関わっています。
食胞ができるしくみ
生体内の細胞は、外部の物質を取り込もうとするときに細胞膜を使います。取り込む物質の周りに膜が巻き付いて包み込み、袋の形になります。この袋状の空間が食胞です。
取り込まれた物質はまだ消化をしていません。次にリソソームと呼ばれる別の小さな袋と融合します。この融合により内部の酵素が活性化され、物質が分解されやすくなります。
食胞とリソソームの関わり
リソソームには消化酵素が詰まっており、食胞と合体することで包まれた物質を分解します。分解された小さな分子は細胞の新しい材料となったりエネルギー源になります。
身近なイメージ
食胞は細胞の取り込み装置のような働きをします。外部から取り込んだものを袋に入れ、後で袋の中身を細かくして利用できる形にします。
表で学ぶ食胞のポイント
ここで覚えておきたい重要ポイントは、食胞は単独で消化を行うのではなくリソソームと連携して働くという点です。リソソームの酵素が食胞の内部で食べ物を分解し得られた小さな分子を細胞が利用します。
なお食胞の研究は生物学の授業や医学免疫学などでよく扱われます。病気の理解や免疫機構を学ぶ際にも重要な役割を果たします。
本記事では難しい専門用語を極力避け、食胞の基本像をつかんでもらえるように解説しました。もし文章を読み返して分からない部分があれば、図解を探してみてください。
食胞の同意語
- ファゴソーム
- 英語の phagosome の日本語訳。細胞が異物や粒子を取り込んで形成される、取り込んだ物質を包む膜で囲まれた細胞内の小胞。
- 食胞
- phagosome の別名。日本語での一般表現で、取り込まれた粒子を包む膜で囲まれた小胞を指す。
食胞の対義語・反対語
- 分泌小胞
- 細胞内で荷物を外へ放出する役割を持つ小胞。食胞の取り込みという“内側へ取り込む機能”の対極として考えられる概念です。
- 外分泌経路
- 細胞外へ物質を放出する経路全般。食胞が内側へ取り込む機能と対照的な動作を示します。
- エクソソーム
- 細胞が外へ放出する小胞の一種。食胞の取り込みに対して、情報伝達や物質放出の役割を担う対になる概念として挙げられます。
- 胞外排出（exocytosis）
- 細胞内の物質を膜融合を通じて細胞外へ放出する過程。食胞が内側へ取り込む機能の反対方向の現象です。
食胞の共起語
- ファゴソーム
- 食胞の英語名 phagosome。細胞が取り込んだ粒子を包む膜で囲まれた胞内小器官。後でリソソームと融合して消化が進む。
- ファゴサイトーシス
- 細胞が外部の粒子を取り込む一連の過程。食胞を形成する現象で、免疫や防御にかかわる重要なメカニズム。
- リソソーム
- 酸性酵素を含む細胞小器官。ファゴソームと融合して取り込んだ物質を分解する。
- ファゴリソソーム
- ファゴソームとリソソームが融合してできる、消化を行う胞内構造。食物や病原体を分解する。
- エンドサイトーシス
- 細胞が外部物質を内部へ取り込む一般的な経路。ファゴサイトーシスを含む取り込みの総称。
- 内吞
- 細胞が外部物質を取り込む現象の別称。エンドサイトーシスと同義で使われることがある。
- 細胞内消化
- 取り込んだ物質を細胞内で分解・処理する過程の総称。
- 消化酵素
- リソソームなどに含まれる、物質を分解する酵素。食胞内での分解を支える。
- 膜融合
- ファゴソームとリソソームの膜が結合する現象。内容物を分解する準備となる過程。
- 病原体取り込み
- 病原体を細胞が取り込み、食胞内で処理する現象。免疫・防御の一部として機能する。
- 捕食
- 生物が他の粒子を取り込む行動。食胞の形成と関連する基礎語。
食胞の関連用語
- 食胞
- 細胞内で取り込んだ粒子を包み込む膜で囲まれた小胞。貪食の過程で形成され、内部で取り込んだ異物を分解する場となる。
- ファゴソーム
- 貪食によって作られる食胞の正式名称。取り込んだ粒子を包み込み、リソソームと融合して分解が進む準備段階の小胞。
- 貪食
- 細胞が粒子を取り込み、異物を内部へ取り込んで処理する一連の過程。主に免疫細胞で起こる。
- 貪食受容体
- 粒子を認識して取り込む受容体。 Fc受容体や補体受容体などがあり、オプソニン付着粒子の貪食を促進する。
- Fc受容体
- 抗体が結合した粒子を認識して取り込む受容体。抗体化された病原体の貪食を特に促進する。
- 補体受容体
- 補体タンパクが結合した粒子を認識して取り込む受容体。補体経路でオプソニン化された粒子の貪食を助ける。
- オプソニン化
- 粒子表面にオプソニン（抗体や補体）が付着して貪食を促進する現象。貪食 efficiency を高める。
- 早期ファゴソーム
- 取り込まれた粒子を包み込んだ直後の初期段階のファゴソーム。 maturation の初期段階。
- 後期ファゴソーム
- ファゴソームの成熟が進んだ段階で、リソソームとの融合へ向かう準備をする小胞。
- ファゴリソソーム
- ファゴソームとリソソームが融合して、内包物を効率よく分解する段階の小胞。
- リソソーム
- 酸性水解酵素を豊富に含む細胞小器官。ファゴリソーム内の内容物を分解する役割を担う。
- 酸性化
- ファゴソームが酸性環境へと変化する過程。酵素活性を高め、微生物を分解する条件を整える。
- リソソーム酵素
- 酸性水解酵素群の総称。タンパク質、核酸、脂質などを分解する。
- Rab5
- ファゴソームの初期成熟過程を制御する小GTP結合タンパク質。早期段階の謎解きに関与。
- Rab7
- ファゴソームの後期成熟・リソソーム融合を促進する小GTP結合タンパク質。
- LAMP1
- リソソーム膜に多く存在する膜タンパク。ファゴソーム–リソソームの融合を補佐するテンサクター。
- LAMP2
- LAMP1と機能が似た膜タンパク。膜の安定性と融合過程で働く。
- MHCクラスII分子
- 抗原を提示する主要な分子。消化済み抗原を細胞表面に提示してT細胞を刺激する。
- 抗原提示
- 貪食後に分解された抗原をMHC分子に載せてT細胞へ提示する免疫過程。
- マクロファージ
- 主に貪食を担当する白血球の一種。病原体の捕捉と消化、抗原提示を行う。
- 樹状細胞
- 強力な抗原提示細胞。貪食後に抗原を取り扱い、T細胞へ提示して免疫を起動する。
- 好中球
- 急性炎症時に多数動員され、速やかに貪食を行う白血球。主に初期防御を担う。
- エンドソーム
- 内包体の一種で、細胞内で物質を運搬・分解する過程に関与。ファゴソーム成熟と連携することがある。
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